読書メモ 「翻訳教室」柴田元幸
何年も前から積読になっていた本を読破。翻訳家の柴田元幸さんが、実際に大学で行っていた講義を文字おこししたもの。
柴田さんは、エドワード・ゴーリーの「うろんな客」の訳で知りました。韻を踏んでいて、独特の絵に合った言葉選びがしびれる。
単語のニュアンス、文法など「なるほど」と思うことも。
・desparate / despair
desparateは「やけくそ」「必死」のニュアンスに近い。あきらめていない、あきらめが悪い感じ。despairは「絶望」
(確かに、アメリカのドラマ、「デスペラートな妻たち」もそんなイメージ)
・apparently
「明らかに」「見るからに」という意味はない。「見かけ上は」「どうやら」くらいの意味。
(昔、アメリカ人の同僚に「~さん、まだ具合悪そう?」と聞いた時に"Apparently, yes."と答えられたこと思い出す。「そうみたいね」というニュアンスだった)
・「運命」を意味する destiny / fate / doom
あとになるほど暗くなる感じ。"The project was doomed from the beginning."(そのプロジェクトは挫折する運命にあった)
・どこまでが同格か
"The shouts (中略)reminds you of playing outfield(中略)by the floodlights of tractors and combines, and an enormous, rising moon."(スチュアート・ダイベック "Hometown")
→reminds you ofの対象が、playing outfield とan enormous, rising moonととらえるのは、文法的におかしい。動名詞と名詞句を同格ととらえるのは、まずい英語。この場合はbyの後ろ、the floodlightsとan enormous, rising moonが同格とみるべき。
抜粋されたほんの一部ですが、久々に英文学を原文で読んだわ。